JAFCOの投資とは

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入社後の、その先まで見据えた支援を。MOON-Xの人材採用に伴走するHR支援事例
入社後の、その先まで見据えた支援を。MOON-Xの人材採用に伴走するHR支援事例

ジャフコは創業以来、世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開いてきました。

今回は、2019年10月にご出資させていただいた、自社ブランドの運営や共創型M&Aによるブランドの成長促進を行うMOON-X株式会社への支援について、ビジネスディベロップメント部の西中 孝幸、投資部の長岡 達弥と、MOON-X株式会社CEOの長谷川 晋さん、Head of HRの石井 伸幸さんが、支援当時の内容についてお話します。


【プロフィール】
MOON-X株式会社 Co-founder/CEO 長谷川 晋(はせがわ・しん)
2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・Braun・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramはMAU810万から3,300万に。2019年8月にMOON-X Inc.を創業。最新著書「今すぐ結果が出る 1ページ思考」(ダイヤモンド社)。


MOON-X株式会社 Head of HR 石井 伸幸(いしい・のぶゆき)
新卒にて人事労務領域のコンサルティングを行うミナジンに入社。製造業向け人材派遣事業、マーケティング担当、支店&新規事業立ち上げ(人事コンサルティング事業等)を経験。その後、DMM.comに入社し、新規事業立ち上げ支援、子会社PMI、マーケティング本部担当HRBPを経験した後、50事業全体の人事領域を統括するHRBPマネジャーに。2022年11月にMOON-X人事部長に就任。


【What's MOON-X株式会社】
MOON-Xは代表の長谷川がP&Gで実感した人々の生活を豊かにする「モノづくり」と、楽天・Facebookで経験したデジタル上での購買体験やプラットフォームを活用した情報発信など「テクノロジー」に大きな可能性を感じたところからスタートしました。  2019年の創業時より「ブランドと⼈の発射台」というミッションのもと様々な経験を持つプロフェッショナルな⼈材が集まり、⾃社ブランドの⽴上げ・育成、他社ブランドのDX⽀援、そして「共創型M&A(※)」を通じて多くの⽅に愛されるブランドを築き、お客様の⽣活を豊かにし、地⽅経済、そして⽇本経済の発展に寄与するような取り組みを加速させています。
※どちらかがもう一方に吸収合併されるのではなく、お互いの強みを持ち寄り、ONE Teamとなってブランドのさらなる飛躍と継続的な成長を目指す、MOON-Xが提唱するM&Aのアプローチ



MOON-Xがかかげるミッション「ブランドと人の発射台」。その実現に向けたジャフコのHR支援とは


─まずはMOON-Xの創業の経緯やきっかけについてお聞きしたいのですが、長谷川さんの根本には「燃える仕事」がしたいという思いがあると伺っています。

長谷川 そうですね。大学在学中、体育会のハンドボール部の主将を務めていたのですが、そのときの「勝っても負けても泣けるくらいの、しびれる楽しさ」が僕にとってとても充実した時間でした。その濃密な充実感や、仲間を集めて全速力で頑張る感覚を味わいたいという想いが、これまでの仕事やMOON-X創業の原点になっています。

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MOON-X株式会社 代表取締役CEO 長谷川 晋氏


─MOON-Xは自社ブランドの運営や共創型M&Aによるブランドの成長促進など「ブランド」を軸に事業を展開されていますが、ブランドに着目した理由などを教えてください。

長谷川 前職のFacebook Japanで代表を務めていた際に、地方創生のプロジェクトで日本全国を訪れるなかで、「日本のモノづくりはすごいな」と実感したことがきっかけです。

モノそれ自体の魅力はもちろん、携わっている方の姿勢や技術などが非常に細やかで、素敵だと思いました。

ただ、一方でモノづくりをされている方々は、作ることに集中するので「発信する」ことや「広める」ことまで手が回らないこともあると感じました。そこで、インターネット企業出身の僕たちがデジタルやテクノロジーの力をかけ合わせることで、大きなインパクトが生み出せるのではないかと考え、MOON-Xを創業しました。

西中 長谷川さんの思いはMOON-Xのカルチャーにも現れていますよね。燃える仕事をしたいという思いは3 Valuesの「スピード狂」や「WE ARE FAMILY」に、テクノロジーの力も活用してブランドを広めたいという思いはミッションの「ブランドと人の発射台」に。

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ジャフコ ビジネスディベロップメント担当の西中 孝幸


─MOON-Xの創業前からジャフコのつながりがあったと伺っています。当時の状況やHR支援を始めるまでの経緯などについて教えてください。

長谷川 僕らがMOON-Xを創業したのが2019年の8月で、それより前からジャフコさんとは事業のアイデアや方向性を話していました。それから約3カ月でジャフコさんや個人投資家の方から10億円超の投資をしていただいて、さらに、創業メンバーの採用にも関わっていただいたこともあります。そのようなサポートを創業前からしていただいたこともあり、HR関連で課題が生じた際には真っ先にジャフコさんへ相談しました。


─改めてジャフコがHR支援を行い始めた当時(2020年8月頃)は、MOON-Xの組織としてどのような課題感を持っていましたか?

長谷川 そうですね。その当時は「体制強化」を課題に感じていました。

創業当初は共同創業者の塩谷と私やその他数名の創業メンバーでブランドの運営を行っていたのですが、事業をスケールさせるには、MOON-Xのコア中の「コア」になる事業責任者のメンバーが必要だと判断しました。

特に、MOON-Xはブランドポートフォリオ会社として、ブランドのミッションを自分ゴトとして捉え、自分で切り盛りしたいという意思を持った人が必要でした。ただ、当時は採用にかけるリソースが不足していたため、ジャフコさんに採用関連業務をお手伝いいただきました。



自分よりも悔しがる姿勢が、信頼に変わった


─2020年8月頃からMOON-Xの「体制強化」に向けたジャフコのHR支援が始まります。具体的には、どのような支援を行っていましたか?

西中 「体制強化」が課題である一方で、当時のMOON-Xは「事業に専念する」フェーズでもありました。そのため、どうすれば事業に専念できる状態をつくれるか?を考えながら、採用担当者の役割をジャフコが受け持ち、一次面談では約30名ほどとお話し、最終的には事業責任者クラスの方を複数名採用することができました。


─MOON-Xの採用支援としての難しさなどはありましたか?

西中 そうですね。長谷川さん自身がプライベートも含めてプロフェッショナルな生き方をされていることもあり、求める人物像のレベルが高いという難しさはありました。

当初、採用の重要性を理解されている長谷川さんが一次面接に......という話もあったのですが、それをしてしまうと事業が回らなくなると思い、ジャフコが書類審査から一次面接の対応、長谷川さんは最終面接の対応という分担で、採用を進めることにしました。

石井 私も西中さんの面談を経てMOON-Xに入社したのですが、途中で一度選考をお断りしているんですね。というのも、前職で4000人近い規模の会社で人事マネジャーをしており、次の職場は200~300人規模の会社を探していたところ、MOON-Xはまだこれからというステージで。探していたイメージとはギャップがあるからと、西中さんの誘いをお断りしていました。

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MOON-X株式会社 人事部長 石井 伸幸氏


─それでも、その後にMOON-Xの面接を受けられ、今は人事責任者としてご活躍されています。その心境の変化には、どのような背景があったのでしょうか?

石井 面談でのアトラクトの上手さだったり、面談後のフォロ−アップに社員とのカジュアル面談を設定してくれたりといった選考の丁寧さや熱量ですね。面接中は主にキャリアについてのすり合わせをしていただいたのですが、西中さんがプレゼン資料を使いながら今後のMOON-Xの展望と、そのときに得られる機会はこうだからキャリアにとってどんな利点が......と、かなり細かく丁寧にお話いただいて。その熱量が生まれるMOON-Xはどんな会社なのだろうと思い、入社を検討するようになりました。

西中 MOON-Xの事業はブランドやM&Aといったキーワードが象徴的だからこそ、ドキュメント情報だけでは事業のユニークさや魅力が伝わりにくい現状がありました。そのため、応募者と面談する際は、ドキュメントの裏側の背景や想いを伝える意識を持っていましたね。

また、MOON-Xが求めるのは「自分で考えて自分で行動できる人材」ということもあり、面談では応募者自身のキャリアの方向性やスキル・マインドが、MOON-Xの成長とどのように結びつくのかを意識していました。


─これまでのHR支援を振り返って、長谷川さんの印象に残っているエピソードはありますか?

長谷川 そうですね。支援当初、惜しくも採用に至らなかった方がいらっしゃったのですが、そのときに西中さんが僕以上に粘って、僕以上に悔しがっていて。採用には至りませんでしたが、その熱量が僕にとって衝撃的でした。

西中 そうですね、やはりとても魅力的な方だったので、とても残念ではありました。

長谷川 もちろん、人を採用してメンバーを増やすことも重要ですが、それ以上に採用したメンバーが入ってから活躍して、中長期的にビジネスや組織をレベルアップしていくことが企業の成長には重要です。

今、CEO室長として働いているメンバーや同席している人事部長のノブ(石井)さんは、当初は想定していなかったポジションだったのですが、西中さんがMOON-Xの成長に必要なポジションです、と推薦をしてくれて採用することになりました。今、彼らが大活躍してくれているのを見ると、単に何人採用したという数字だけでは語れないインパクトの支援をいただいたと思います。



MOON-X内で「西中採用本部長」と呼ぶまでの関係に


─投資部の長岡さんとビジネスディベロップメント部の西中さんは、どのように連携をとりながら支援を進めていましたか?

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ジャフコ投資担当の長岡 達弥


長岡 通常、キャピタリストが投資先企業のフロントにたって連携を行うのですが、MOON-Xで起こっていることを西中さんに直接聞くくらい、安心感や信頼を持ってHR支援を任せていました。また、当初HR支援の話を西中さんに相談したのも、西中さんがキャピタリストの経験を持っていたからです。経営者目線も、現場の人事目線も兼ね備えているので、安心して相談ができました。

長谷川 よく「自分ゴト化」するという言葉がありますが、本当の意味で自分ゴト化できる人はそう多くいません。西中さんを始めとするジャフコは、採用した人が活躍し、企業価値が高まることを仕事にしているからこそ、経営者の立場で同じ熱量を持ち、組織にとって必要なことは?という視点で支援をしていただきました。もちろん、人材紹介エージェントも同様に採用支援をいただいていますが、VCの投資先支援とは構造的に役割や目的が異なりますので、両方とも大切なパートナーだと私は考えています。西中さんにはそのあたりを調整していただき、採用の「コア」として支援いただきました。

だから、半分冗談、半分本気で、西中さんのことを社内ミーティングで「西中採用本部長」と呼ぶこともありましたね。

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ブランドと人の発射台を目指して、これからも。


─最後に、これからのMOON-Xが目指す、次の目標について教えてください。

長谷川 そうですね。2022年は資金調達も行ったことで、2023年はいよいよ共創型M&Aを通じてミッションである「ブランドと人の発射台」の実現を加速させていくフェーズだと考えています。

採用に関してもMOON-Xはブランドポートフォリオ会社として、経営の実体験ができるポジションが多くあります。その意味で、事業の広がりと合わせて優秀な人材を採用し、そのメンバーが大きく成長することもすごく楽しみにしています。

石井 今年度は何十人単位で採用する想定です。これまで以上に、入社されたメンバーが一日でも早く事業成長に貢献できるようなフォローアップ体制を、人事部長として構築したいと考えています。

西中 キャリアを考えるうえで、『何をやるか』も大切ですが、『誰とやるか』もとても重要なテーマです。全力で走り抜けたいと感じている人にとってMOON-Xはぴったりだと思います。そんな方はぜひMOON-Xをのぞいてみてください。

長岡 MOON-Xは、各分野のプロフェッショナル集団である一方で、共通のミッションを実現しようとする強烈に連携したチームでもあるため、結果として成果を出し続けられる、そんな再現性のある状態に入りつつあるように思います。おそらく今一番濃い経験ができる時期だと思います。このまま突き抜けるべく、ミッション実現のパートナーとしてJAFCOも変わらずコミットし続けます。