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支援の基本は「商談機会の創出」 スタートアップに重要な「最初の商談」を作り出すために
支援の基本は「商談機会の創出」 スタートアップに重要な「最初の商談」を作り出すために

スタートアップにとって解決したい疑問は尽きない。

自らのプロダクト、サービスが市場から求められているのか? そもそも、創業当時、知名度の低いスタートアップが顧客と接点を持つにはどうすれば良いのか?

スタートアップは「顧客獲得」に課題がある場合が多く、解決の糸口が見つからずに、思うような売上が立たないことも少なくありません。

ジャフコ グループは、このようなスタートアップに対し、マーケティング・セールス支援を行い続けてきました。今回は、ジャフコの取り組みである「投資先支援」について、マーケティング・セールス支援チームの黒坂圭一、山本惇志、橋本真典が、具体的な支援内容や実績、投資先企業との向き合い方についてお話します。


【プロフィール】
ジャフコグループ株式会社 ビジネスディベロップメント部 黒坂圭一(くろさか・けいいち)
新卒で入社、投資部を経てビジネスディベロップメント部創設と同時に所属、幅広い大手事業会社とのネットワークを活用し投資先の営業支援・事業開発、資本業務提携等を支援するとともに大手事業会社の新規事業開発・オープンイノベーションをサポート。投資先の資本業務提携、M&Aの実績5件。


ジャフコ グループ株式会社 ビジネスディベロップメント部 山本 惇志(やまもと・あつし)
新卒で株式会社ジャフコ(現 ジャフコ グループ株式会社)に入社。九州支社に在籍し同地域スタートアップへの投資業務を経験。現在はビジネスディベロップメント部にて、投資先支援及び、大企業とスタートアップの協業支援に従事。


ジャフコグループ株式会社 ビジネスディベロップメント部 橋本真典(はしもと・まさのり)
新卒でグリーに入社し3rdパーティ向けPFのアライアンス営業や運用コンサルティングに従事。その後スタメンでHR系SaaSサービスの営業立ち上げ、リクルートで全社横断のソリューション開発、ソフトバンクでJV立ち上げ、新規事業開発に携わった後、2022年に当社入社。



大企業ネットワークを駆使し、ビジネスの「機会創出」を支援

営業戦略の検討からリード獲得、商談機会の創出まで

ーまず、ジャフコが行うマーケティング・セールス支援について、詳しくお聞かせください。

黒坂 マーケティング・セールス支援の取り組みを一言でまとめるとしたら、投資先企業と大企業の「関係値づくり」だと考えています。具体的には、ウェビナーを開催して投資先企業を知っていただく機会をつくったり、ジャフコのネットワークから投資先企業に合った大企業を紹介したりといった活動に力をいれています。特にウェビナー開催は、コロナ禍で始めた施策で1回の開催で100名近い方にお集まりいただくケースが多いですね。

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ただ、多くのスタートアップは営業戦略が定まっていなかったり、十分な営業リソースを持っていなかったりということも事実です。その場合は、投資先企業と一緒に営業戦略の検討や商談機会の創出といった立ち上げに近い内容も行っています。

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関係値づくりを支える数万社の大企業ネットワーク

ー企業の紹介からウェビナーの開催、そして営業戦略の検討や商談機会の創出など幅広い支援ができる背景には、どのような要因があるのでしょうか。

黒坂 1つには、これまでの投資、ファンド募集、投資先支援等の活動、カンファレンス、ウェビナーの開催を通じて構築された数万社の大企業ネットワークがあることです。業界業種、会社規模ごとに細かく分類されているため、投資先企業の状況に応じて最適な企業の紹介が可能です。

もう1つの要因は、やはり「起業家を第一に考える」というマインドだと考えています。支援先企業がどのような課題を抱えていて、その解決には何が必要なのか。ネットワークをつなぐだけということはせず、起業家や支援先企業にとってどんな支援が良いのかを考えているため、必然的に支援内容も多様化しつつありますね。



営業戦略の検証、リード獲得のウェビナー開催や、企業との商談機会の創出も

複数パターンから営業戦略の検証

ーでは、セールス・マーケティング支援の具体的な内容についてお聞かせください。

山本 改めてジャフコの支援内容を説明すると「営業戦略の検討」「リード獲得」、そして「企業との商談機会の創出」の3つに分けられます。そのうち、まず取り組むのが「営業戦略の検証」です。

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具体的な取り組み例ですと、遠隔接客ツール「RURA」を提供しているタイムリープ株式会社への支援があります。RURAは離れた場所からお店にいるお客様に接客ができるというツールだったのですが、当初より新規性や話題性がある一方で、どんな業界、業種をターゲットにすべきかまでは明確になっていませんでした。

そこで私たちは、モノの販売かサービスの販売か、高価格商材か低価格商材か......など、接客タイプごとの相性を考えながら仮説を立て、それぞれに合致する企業を紹介しました。

もちろん、企業文化や接客の考え方など各社それぞれ反応は違いましたが、ツールと相性のいい接客はこれだという、大きな方向性を見つけることができましたね。


黒坂 ただ、最初から正解のようなものがあったわけではありません。仮説を立てて実行しても外れることもありますし、質を高めるために商談回数を増やすということも行います。

私たちジャフコは、良い意味で「第三者」的でもあります。だからこそ、スタートアップと大企業の両方の立ち位置を客観的に見ながら、営業後のフォローで聞く「実際の声」をもとにした改善ができるのではないかと考えています。



ーこのような取り組みは、支援先企業から要望があって行うのでしょうか。それともジャフコ側からの提案主導で進めるのでしょうか。

山本 ケースバイケースではあるものの、どちらのやり方もジャフコは行っています。今回の事例だと経営者からの要望として、数を売るよりも注力する業界を見極めたいと要望があったため、それに合う企業をネットワークからピックアップして紹介をしましたね。



リード獲得に向けたウェビナーやマッチングカンファレンスを開催

ー仮説検証による方向性の検討後は、どのような取り組みを行うのでしょうか。

山本 次に実施するのは、方向性に沿った企業様と広く接点を持つこと。具体的には、ウェビナーの開催などを行います。

ウェビナーは100名単位といった規模で開催し、集客のサポートを行っています。やはり設立間もないスタートアップは、認知が広まっていないために集客面が課題。だからこそ、ジャフコの大企業ネットワークを活用し、より多くの方々に知っていただく機会を提供しています。具体的には2021年度の実績として年間60回、毎月平均して4、5回ほど実施していました。

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また最近は、協業を目的とした「マッチングカンファレンス」も実施しています。実は、投資先企業と大企業の商談機会を設定しても「協業で解決したい課題」について話し合われない場合も多くあります。特にスタートアップと大企業は文化も違えば使っている言語も違います。そのため、ジャフコが両者の中間に立つことで、それぞれの価値が結びついた本当の意味での「オープンイノベーション」が生まれると考えています。



ーなるほど。協業を前提にしているというのは、他のマッチングカンファレンスとは違った魅力がありますね。

山本 そうですね。当日ピッチを行っていただくスタートアップには、参加企業の概要を事前に共有しますし、大企業もオープンイノベーションを熱量高く推進していただけそうなご担当者にお声がけをしています。

今後は登壇いただいたスタートアップや参加企業様のご意見をもとに、四半期に1度程度のペースで定期的にマッチングカンファレンスを開催したいと思っています。

https://www.jafco.co.jp/andjafco-post/2022/05/26/000194/



プロダクトの立ち上げに向けて、100社との商談機会を創出

ーでは、3つめの取り組みである「企業との商談機会の創出」についてお聞かせください。

山本 リードを獲得して、営業戦略の道筋が立ったとしても商談機会がなければ売上を伸ばせません。そこでジャフコは大企業ネットワークを活用し「商談機会の創出」を行っています。その好例となるのがセールス&マーケティングのDXを実現する株式会社WACULへの支援です。

もともとはVCのような外部資本の注入に慎重で、「本当の一員として支援してくれるのかどうか」を意識されていました。確かに、私たちのようなVCは、投資する・されるのような力関係ができやすい状況にあります。そのため、一緒に事業を推進してくれる存在になってくれるのか?という不安があったようです。

そこで、取り組んだのが「100社紹介キャンペーン」です。名前にもあるように、まずは100社を紹介しようと決めて毎月の目標数字を設定、支援先の営業会議に出席して進捗を報告しながら、結果として約1年でSMBから大企業まで100社の紹介を実現しました。うち数社からは実際に受注もいただいています。



ー100社......。ここまでの取り組みは、なかなか見られないように思います。

山本 そうですね。もちろん、100社分の商談を行うには投資先企業の営業担当者様の頑張りがなければ達成することはできません。その意味でジャフコだけではなし得なかったプロジェクトだと思います。

一方で、私たちも単に100社紹介をしたということではなく、支援先企業がどんなことをやりたくて、どんな顧客を求めているかを検討・修正しながら進められたことが、結果につながったのではないかと考えています。



本当の意味で、投資先のためになるマーケティング・セールス支援とは

スタートアップ・ベンチャーにとって重要な「最初の商談」

ーここからはもともとジャフコの投資先企業に在籍していた橋本さんに、スタートアップの側から見た投資先支援についてお聞きします。

橋本 私は以前、ジャフコの投資先企業に勤めていたのですが、やはりスタートアップ・ベンチャーは知名度がなく、最初の商談をセッティングするだけでも一苦労でした。ジャフコから支援があったのはちょうどそのような時期で、「関係値づくり」の観点からさまざま支援いただきました。例えば、アポイントをとりたい企業との商談を実現してもらえたり、反対に思ってもいなかったような有名企業を紹介してもらえたりといったこともありましたね。

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スタートアップにとって、立ち上げ期のフェーズが肝心です。ここがうまくいかなければ、事業が続かなかったり、続いたとしてもその後の成長スピードが鈍化してしまったりと会社運営に悪影響を及ぼしかねません。だからこそ、立ち上げ期のフェーズでジャフコに支援いただけたことは、当時の会社にとってもフラッグシップ案件の事例として活用できましたし、また自分にとっても良い経験になっています。



ー支援の面でジャフコと他のVCと比べた場合の違いについて、お聞かせください。

橋本 他のVCは、ある業界に特化しているなどの特徴が見られますが、ジャフコの場合は数万社の大企業ネットワークがあるため、特定の業界に偏ることなく幅広く企業を紹介できます。だからこそ多角的な視点からPMF(プロダクトマーケットフィット)の検証が可能だったり、そこからさらに進んだ価値向上や次なる事業創造にもつながりやすかったりといった環境を提供できますね。



これからのマーケティング・セールス支援の「あり方」

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最後に、ジャフコのマーケティング・セールス支援の今後を教えてください。

黒坂 私たちの考え方の根底には「起業家へのリスペクト」があります。だからこそ、「投資先企業のために」と口だけで言う存在にはならずに、支援先企業と力を合わせながら企業価値向上・事業創造を目指すことを大切にしたい。これからも「何をすることが、投資先企業にとって重要か」を考えながら、マーケティング・セールス支援の取り組みも進化し続けたいと考えています。