JAFCOの投資とは

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根底にあるのは「起業家へのリスペクト」 執行役員と考える本当に必要な「投資先支援」とは
根底にあるのは「起業家へのリスペクト」 執行役員と考える本当に必要な「投資先支援」とは

目まぐるしく変化するビジネスの「現場」。
それは、目に見える「株価」や「売上」、ネット上の「反応」からメンバー間の「雰囲気」まで組織内外の至るところに見られます。特に、2020年代以降の世界情勢の変貌ぶりはすさまじく、誰もが正解を持っていない混沌とした世界へ足を踏み入れつつあります。

そうした変化の中でも一貫して投資に向き合い続けてきたのがジャフコグループ。今回はジャフコの取り組みである「投資先支援」について、執行役員でビジネスディベロップメント部を統括する佐藤直樹が、具体的な支援内容や投資先企業との向き合い方についてお話します。


【プロフィール】
1992年入社。以来一貫して前線での投資EXIT活動に従事し、スタートアップ投資からバイアウト型投資まで多種多様な案件に関わりIPOのみならず、大企業との資本提携、M&Aを数多く手掛ける。2018年パートナー就任後は、投資先のバリューアップ専門部隊を統括し、ジャフコのベンチャーキャピタルとしての有り様をブラッシュアップ。2022年6月より執行役員 ビジネスディベロップメント担当。


【ビジネスディベロップメントの主な支援実績】
■マーケティング・セールス支援
 ービジネス・マッチング 644件
 ー投資先とのリード獲得セミナー79件。延べ9300名程度参加
■HR支援
 ー採用決定 77名
■バックオフィス支援
 ー上場準備コンサル関与 24社
※2021年実績



変化にとらわれず、投資に向き合い続けてきたジャフコグループ

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きっかけはリーマン・ショック。VCの立ち位置が大きく変化することに

―まず、現代におけるベンチャーキャピタル(以下、VC)の役割について、ジャフコグループの考えをお聞かせください。

佐藤 端的に申し上げますと、「投資先企業の成長のために "ヒト・モノ・カネ" のリソースを提供し、成長のスピードと角度を上げること」が現代のVCの役割だと考えています。

黎明期においては、ある程度収益基盤があるミドルステージ、IPO間近であるレーターステージの企業への投資をメインに行なっていました。当時は、VCの支援内容も株主構成の整理や財務体質の改善、資本提携のご支援など"IPOの準備をともに考える" ことを役割としていましたね。

しかし、投資の中心は徐々にシード・アーリーへと移行し、それに伴ってVCの役割や支援のあり方も変わってきたと言えます。



―ミドル・レーターからシード・アーリーへ投資の中心が移行した背景には、どのような要因があったのでしょうか。

佐藤 90年代中頃からアメリカにおける投資のあり方を日本へ取り込みだしたという流れもありますが、何よりも大きいのはリーマン・ショックを契機とした変化でした。

リーマン・ショックによって、ジャフコも大きな損失を計上。これまでの投資戦略やVCのあり方を見直すなかで、マーケット環境に左右されずにキャピタルゲインを作り出すためには、シード・アーリーステージから起業家と共に事業に向き合うことが必要不可欠と考え、絞り込んだ投資先に深く関わり、成長角度を高めるスケールの大きな投資と経営支援を行う「厳選集中投資」へと舵を切ったのです。



分散投資から厳選集中投資。投資先企業との関わりを強化

―分散投資から厳選集中投資へと舵を切ったことによって、具体的にどんな変化が生まれましたか?

佐藤 IPO市場で高い評価を得られる投資先が増えているのはもちろんのこと、キャピタリスト一人が関わる投資先企業の数が絞られることで、その関係値が明らかに変わっています。

具体的には、経営者との対話の中で挙がる企業課題や経営課題に対して、キャピタリストとジャフコの投資先支援チームで連携しながらご支援を行っています。中には必要に応じて一定期間常駐して支援をしているキャピタリストもいるなど、関わりの "濃度" は確実に高まっていますね。

時代とともに投資の在り方を進化させてきましたが、その根底にあるものは"起業家に対するリスペクト"です。キャピタリストはもちろん、投資先支援チーム、投資先企業と直接関わらないコーポレート部門のメンバーまで含め、同じ目線を会社全体で持ち合わせていることは、1973年の創業以来、変わることなく受け継がれてきたジャフコのカルチャーだと考えています。



ジャフコが注力する「投資先支援」とは

投資先の状況に合わせ3つの機能から支援

―ジャフコが行う投資先支援について、詳しくお聞かせください。

佐藤 現在は「マーケティング・セールス支援」「HR支援」「バックオフィス支援」の3つの機能を軸に支援を行っています。

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マーケティング・セールスとバックオフィス領域は、過去のジャフコの実績から生み出された大企業とのネットワークやIPO支援を手がける中で培った知見を生かし、20年ほど前から取り組んでいます。

その後、投資対象がシード・アーリーステージの企業へ変化したことを機に創業期のベンチャー企業において成長の鍵となる「人材採用」機能を強化すべきだと考え、2017年からは、採用支援や組織構築をはじめとしたHR領域の支援も強化してきました。

その他、外部のBloom&Co.社と提携し、マーケティング・ブランディングの支援を実施しています。投資先企業の方とBloom&Co.社とで壁打ちができる機会を設け、対話から「自社の戦略やイメージをどのように打ち出すべきか」「ブランディング施策にどれだけのコストをかけるべきか」などの疑問に対し、プロの視点からのアドバイスで課題を解決できる場として、これまで30社以上に支援を行っています。



ジャフコグループを挙げて投資先支援を

―具体的な支援内容を考えるうえで、ジャフコの目指す投資先企業との関わり方についてお聞かせください。

佐藤 スタートアップにおいて、最短最速で事業を立ち上げるためのリソースは、いくらあっても足りません。だからこそ軸となる3つの機能の他にも、事業の立ち上げに必要と考えれば広報やコーポレートなどの領域でご支援することもあります。

これまでも「どのようなシステムを組むべきか」とご相談をいただき、ジャフコのコーポレート部門のシステム担当者がアドバイザーとして入らせていただく例などがありました。

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―「役割を定義するよりも、できる支援は何かを考える」という姿勢に通ずる部分がありそうですが。

佐藤 そうですね。ジャフコとしての経験値が投資先企業にも活用できるのであれば提供しますし、事業立ち上げを支援するために必要なリソースが自社になければ、当然外部との連携も行います。

やはりすべては "現場感"。この言葉に尽きると思います。ですから、「こうあるべきだ」「ここまでしかできません」のような考えはなく、起業家に対してリスペクトを持ち、その成長をともに目指してあらゆるニーズに応えていく。これがジャフコらしさだと考えています。



創業から持ち続けている「起業家へのリスペクト」

最初は何もないところからのスタート

―事業創造のフェーズにおいて"正解" が分からない場面がいくつもあるかと思いますが、支援やコンサルティングを行うにあたってこの点をどのように考えられていますか。

佐藤 基本的には、正解は分からないということが "前提"だと捉えています。経営の選択肢は無数にありますし、特にシード・アーリーステージにおいては、プロダクトが世に受け入れられるかもビジネスが軌道に乗るかも分かりません。

だからこそ大切なのは、その前提に立ったうえで起業家とキャピタリストが互いに "納得感" を持って施策を実行していくことだと考えています。



―起業家とキャピタリストとの間で考えに相違がある場合も......?

佐藤 もちろん、そのような場面は多々あります。その中で "納得感" を生み出すためには、起業家と一対一で対話して課題に向き合うことが欠かせません。

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まずは目指しているゴールはどこなのか、原点に立ち返ること。そのうえで、キャピタリストから見えている課題感や提案をお伝えするとともに、起業家、経営者の考え方をしっかりと聞くことを通じて、お互いに "言うべきこと" を言い、今分かっている情報から意思決定を行っていくことが望ましいのではと考えています。そして、約束したビジネスプランが軌道に乗っているかを判断軸におき、ズレが生じてきた場合には軌道修正していけばよいのではと、私たちは考えています。



ジャフコが考える、本当の意味での「投資先支援」とは

―ありがとうございます。それでは最後に、新たな事業に挑戦する起業家に向けてメッセージをお願いします。

佐藤 スタートアップには、さまざまなことが起こり得ます。その中で「何が必要か」を考え抜き、一貫して起業家に寄り添う支援を積み重ねてきたジャフコには、投資先企業の成長にコミットできる体制があります。

新事業を創造し未来を切り開いていかれる起業家の方々には、ぜひ "起業家へのリスペクト" を胸にともに企業価値向上・事業創造を目指す「伴走者」であり「CO-FOUNDER≒共同創業者」として、ジャフコをご活用いただけたらと思います。