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DXの第一歩は「請求書処理」から!LayerX CEO     が語る経理DXのススメ
DXの第一歩は「請求書処理」から!LayerX CEO が語る経理DXのススメ

日本のスタートアップ界隈で起きているトレンド、現象、データ等のトピックスをジャフコなりの視点でリサーチする連載「JAFCO総研」。
4回は大学院在学中に株式会社Gunosyを創業し、現在は株式会社LayerX(レイヤーエックス)の代表取締役を務める福島良典氏をお迎えし「請求書処理から始めるDX」というテーマでセミナーを開催しました。

【登壇者プロフィール】(敬称略)

株式会社LayerX 代表取締役CEO 福島 良典(ふくしま・よしのり)
東京大学大学院工学系研究科卒。大学時代の専攻はコンピュータサイエンス、機械学習。2012年大学院在学中に株式会社Gunosyを創業、代表取締役に就任し、創業よりおよそ2年半で東証マザーズに上場。後に東証一部に市場変更。2018年にLayerXの代表取締役CEOに就任。2012年度IPA未踏スーパークリエータ認定。2016Forbes Asiaよりアジアを代表する「30歳未満」に選出。2017年言語処理学会で論文賞受賞 (共著)20196月、日本ブロックチェーン協会(JBA)理事に就任。

Portfolio

過去の株式会社LayerXの記事はこちら

DXが推進されないと最大12兆円の経済損失に!?

福島 私が代表を務めるLayerXは、「すべての経済活動を、デジタル化する。」を理念にDX事業・金融事業・プライバシーテック事業を展開しています。請求書AIクラウド『LayerX インボイス』の提供や、三井物産と協業した金融業界のDX事業等、テックドリブンなビジネス展開を行っています。

近年、企業のDXが叫ばれていますが、DXとは単なる「デジタル化」ではありません。「企業の業務をデジタルに変革して競争優位を作ること」です。ただ、DXを推進する上ではいくつかの課題も。既存システムが部門ごとに構築されており、さらに過剰なカスタマイズも加えられているため、全社的に横断したデータ活用が難しい点です。その課題を解決しても、業務フローの再構築の必要性や現場担当からの反発等、実行する上では越えなければならない高いハードルがあります。

しかし、これらの課題が克服できない場合、2025年以降に1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある()ことをご存じでしょうか。

一方で、近年の環境変化や技術改善は企業のDXを後押ししています。2022年の電子帳簿保存法緩和や2023年のインボイス制度といった法規制の変化をはじめ、コロナ禍での環境変化、働き方改革、AI技術の向上やクラウドの普及などにより、紙やハンコの廃止・デジタル化がより一層推進されていくことは間違いありません。

※経済産業省「DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」より

今こそ「請求書受取業務」をデジタル化するベストタイミング

福島 では、具体的にどうDXを推進していけばいいのか。DXの基本は「企業の業務をデジタルに変革する」ことですが、企業の業務は3つしかありません。営業・マーケティング等の顧客接点を持って売上を上げてく「フロント」、経営管理・データ分析など意思決定をサポートする「ミドル」、
会計・人事労務・契約など会社の活動を支援する「バック」の3つ。そしてそれらを横断するのが「基幹業務」です。

DXを推進する順序は、バック、フロント、ミドル・基幹業務がおすすめです。なぜバックオフィスが一歩目に最適かというと、ノンコア業務にSaaSを導入するだけでできて、業務効率化やコスト改善の成果が短期間で出やすいためです。クイックウィンを得ることで「デジタル化するとこんなにいいことがあるんだ」というモメンタムが組織内で生まれ、デジタル化していくためのノウハウも学べます。

当社の請求書AIクラウド『LayerX インボイス』は、バックオフィスの中でも「請求書受取業務」をデジタル化できるサービスです。
リモートワークの時代でありながら、出社せざるを得ない原因の上位を占めているのが「契約書」「請求書」「稟議書」()。そのうち「請求書受取業務」は、100社以上のCFO・経理担当の方にヒアリングをしたところ、全社においてアナログ作業が残っているという回答でした。

実は、請求書「発行」業務をデジタル化するサービスはすでに市場が成熟していますが、「受取」ができるSaaSはこれまで存在しませんでした。
先ほど申し上げた法規制緩和やAI技術向上により、ここ12年でようやくサービスが成立する状況になったためです。つまり今こそ、請求書受取業務のアナログ作業を一掃しデジタル化するベストタイミングというわけです。

※「freee、テレワークに関するアンケート調査(2020423日実施)」より

手入力ゼロを目指す『LayerX インボイス』

福島 『LayerX インボイス』が目指すのは、「手入力ゼロ」で請求書処理が終わるサービス。請求書処理は経理の業務の中で最も手入力が多く、請求書を見ながら手入力してダブルチェックして...という非効率かつミスも起こりやすい作業です。

そこで『LayerX インボイス』は、「請求書回収」「データ化」「会計システムとの連携」という一連の流れをシステムでサポートします。請求書処理にかかる時間が1枚あたり30分、スタッフの時給が3000円だとすると、100枚の処理に15万円もかかることになりますが、そのコストも大幅に削減することができます。

まず「請求書回収」について。請求書は取引先から各部門に届き、各部門担当者が様々なツールで経理部門へ転送するため、経理担当が一括管理しにくいという課題があります。未回収、未払い、コストを正確に算出できないなどのトラブルも。『LayerX インボイス』では、毎月届くはずの請求書が未回収の場合に取引先へアラートを出したり、取引先が直接アップロードできる機能を備えています。

次に「データ化」について。回収した請求書はAI-OCRで自動読み取りが行われてデータ化され、仕訳データも自動生成されます。手書きの請求書も、人間が読める文字であれば問題なくデータ化可能。読み取り精度とスピードには自信があり、お客様からも「他社製品は5割程度だったが『LayerX インボイス』は9割超の精度だった」「他社製品は30秒かかったが『LayerX インボイス』は5秒でデータ化できた」といった声をいただいています。補助科目やメモタグも、過去に一度でも取引があればその請求書から自動補完される仕組みです。

ちなみに、会社規模が大きくなると、請求書に現場上長の承認が必要になってくるケースも発生します。そのため、未承認・承認済みのステータスもわかるようにしています。請求書と凛義を結びつけるサービスはこれまでありませんでした。請求書処理にかかる手間は経理だけでなく現場の機会損失にも繋がりますので、ワークフローの改善にも役立てればと考えています。

そして「会計システムとの連携」についてですが、代表的な会計システムとはシームレスに連携でき、その他の会計システムにも順次対応していきます。

2022年の電子帳簿保存法緩和にも対応予定

福島 『LayerX インボイス』は「請求書受取代行」「スキャン代行」「入力・データ化」「仕訳自動入力」「承認・ワークフロー」「支払い」「会計システム連携」を一貫してカバーしていますが、「入力・データ化」以外の経理業務効率化をサポートできるサービスは現時点では当社だけです2022年の電子帳簿保存法緩和にも対応予定ですので、それまでにサービスを導入いただければ、特別な対応をしなくてもペーパーレス化を実現できるようになります。

今後、請求書受取SaaSは増えていくと思います。ただ、サービスの肝であるAIの精度が十分かどうかは確認すべきところです。一定の規模のサービスを運営していなければ精度はかなり低く、まったく新規で参入するのは難しいのではないかと考えていますサービス導入を検討する際は精度をしっかり比較されることをおすすめします。

当社はエンジニア中心の会社で、業務システムよりtoCのサービスを主に開発してき他メンバーが携わっています。使いづらいとすぐにサービス離脱されてしまうので、直感的にわかる使いやすいUIには自信があります。『LayerX インボイス』を通じて皆様のDXの前進に少しでも貢献できれば嬉しく思います。