【What's ライフイズテック?】
ライフイズテックは「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに、中高生デジタル教育を核に、大学生や社会人・法人、自治体向けのデジタル研修等の教育プログラムを展開し、次世代デジタル人材育成のプログラムとエコシステムを提供。2011年に中高生向けITキャンプ&スクール「Life is Tech ! 」をスタート。その後プログラミング必修化を機にリリースした中学校・高校の授業向けクラウド教材「Life is Tech ! Lesson」は全国4,400校・600自治体(※1)で導入され成長を続けている。
(※1) 2024年8月時点
<インタビュー時点|創業:2010年7月 / 15年目、従業員数:139名、累計調達額:約67億円 / シリーズE調達時>
スタートアップの壁 - ライフイズテック編。
スタートアップが直面する「壁」について、今回はライフイズテックにお話を伺いました。
これまでに動画でお届けした5つの内容の総集編としてご覧ください。
創業物語
「ミッションドリブンで社会を変える-インパクトスタートアップはこう創る」
<出演者> 代表取締役社長 水野 雄介
慶應義塾大学理工学部卒、同大学院修了。大学院在学中に開成高等学校の物理非常勤講師を2年間務めた後、人材コンサルティング会社を経て、2010年にライフイズテックを設立。中高生ひとり一人の「世界を変える学び」のための教育×テクノロジーに注力しながら、様々な企業や自治体とも連携し、社会をより良く変えていく次世代のデジタル・アントレプレナーの育成に取り組む。
教育改革への情熱とライフイズテックの原点
ライフイズテックは、事業成長と社会課題の解決を両立する「インパクトスタートアップ」として注目を集めています。ミッションは「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」です。
水野社長は、日本の教育現場に存在する課題(平均点主義、個性や強みを伸ばしづらい教育など)に強い問題意識を持ち、2010年に起業しました。
創業当初は中高生向けのITサマーキャンプを展開し、スキルの習得だけでなく、大学生メンターや好きな仲間との出会い、そして自分の人生に目標が持てるような「人生の転機になる体験の提供」を目指していたとのこと。その後、スクール事業へと発展し、地域や経済上の教育格差をなくすべくオンライン学習環境の整備にも着手しました。
ディズニーとのコラボレーションなど教育分野での取り組みを多様化する中で、2020年の学校でのプログラミング必修化を機に、教員向けのSaaSプロダクトを開発し、全国の中学校・高校の約1/3に導入され、100万人以上に使われています。現在では企業研修事業にも領域を広げているそうです。
「インパクトスタートアップ」としての進化と未来戦略
水野社長は、「インパクトスタートアップ」とは社会にポジティブな影響を与えるインパクトと、事業の成長や利益の両方を追い求める企業だと語ります。ライフイズテックは、利益の追求にとどまらず、次世代のために良い社会を築くことを重視しており、資金調達の際もミッションへの共感を重視する株主との連携を大切にしてきたとのことです。
ライフイズテックは創業以来、ミッションドリブンで歩み続けており、これまでの事業の進化を「1.0=目の前の子どもたちの人生を変える」「2.0=オンラインでより多くの子どもたちに学びの機会を届ける」と位置づけています。そして現在は、「自分が社会を変えられるんだ」と思えるノベーション人材を2025年までに中高生の20%、120万人を育成するという目標に挑戦しながら、2030年を見据えて「3.0」にむけた進化の姿を描いていく予定だそうです。水野社長は、スタートアップにとって解決したい社会課題への強い想いとそれを実現する強いプロダクトが重要であり、経営者としてはミッションをぶらさず情熱を持ち続けることが大切であると語っています。その詳細や意気込みについては、ぜひ動画をご覧ください。
<ーミッションドリブンで社会を変えるー「ライフイズテックの創業物語」に関する動画はこちら >
コロナの壁
「''理想''と''仲間''で困難を乗り越える-スタートアップが持つべき2つの要素」
<出演者> ライフイズテック株式会社 メンバーサクセス事業部 事業部長 西村 諭美
横浜国立大学教育学部卒。高校情報教員免許取得。大学在学中にライフイズテックのインターン面接を受けたその日から今日まで、一貫してキャンプ・スクール事業に携わる。2021年7月より現職。イノベーション教育の最前線で、中高生ひとり一人の学びと成長を最大限引き出すLX(Learning Experience)を磨き続ける。
コロナ禍における課題とオンラインへの挑戦
ライフイズテックは、中高生向けの短期集中型のキャンプ形式のプログラミング学習事業を行っていましたが、コロナ禍で最大のイベントであるキャンプの参加人数が3分の1に減少しました。対面での集まりを重視し、参加者同士の交流や熱狂を生み出すことを大切にしてきたため、マスク着用やソーシャルディスタンスの確保といった感染対策は、事業の根幹を揺るがす大きな壁となりました。当初は、何ができるのか、どうすれば良いのかが見えず、非常に苦しい状況であったと語られています。
しかし、春休みのキャンプに参加予定だった生徒や、長年指導してきた大学生メンターの最後の機会を笑顔で終えさせたいという思いを受けて、「私たちに何ができるんだろうか?」と色々な方にサポートをいただいたり模索していった結果、オンラインへの挑戦を決断しました。コロナで3月のキャンプが中止になってから、5月のキャンプに間に合わせるべく3ヶ月という短期間でオフライン開催と変わらない体験に仕上げていきました。
これまで首都圏や関西といった限られた地域での開催が中心でしたが、オンライン化によって海外や地方からの参加も可能になり、参加へのハードルが下がったことは大きな変化だったようです。
コロナ禍での困難を理想と仲間で乗り越えた方法とは
オフラインで大切にしてきた「熱狂」をオンラインで作り出すことに当初は苦労したそうです。Zoomのブレイクアウトルームを活用した小規模チームでの活動や、休憩時間の取り方、集中力の維持など、試行錯誤を繰り返しながら、参加者の声を聞き、今までと違うアンテナを立てて0から作り上げていったと語ります。コロナの状況と向き合って、3か月という短期間でリアルと変わらない熱狂を生み出すように磨き込んだそうです。
その結果、ゴールデンウィークに開催されたオンラインキャンプの最終発表会で、参加した中高生が「対面と変わらないほど楽しかった」と言ってくれたことが、オンラインでの可能性を確信する瞬間となりました。キャンプ事業で得たオンラインのノウハウは、現在もスクール事業にて長期的に活かされているそうです。
コロナ禍を乗り越えられた要因として、中高生のための学びを止めないという強い思い・妥協したくないという事業への強い思いがあったことが大きかったと語ります。そして困難な状況でも知恵を絞り、仲間と協力すれば乗り越えられないものはないという教訓を得たとのこと。今後は、中高生の中から「IT界の大谷翔平」のような、世界で活躍できる人材を育成していくことを目指していくと語っています。
オフラインの熱狂をオンラインで実現した挑戦の道のりについて詳しく知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。
<ー理想と仲間で困難を乗り越えるー「コロナの壁」に関する動画はこちら>
新規事業の壁
「一次情報の解像度高い人が勝つ-新しい顧客に新しい価値を届ける必勝法」
<出演者> ライフイズテック株式会社 専務執行役員 CESO(最高教育戦略責任者) 丸本 徳之
慶應義塾大学文学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。組織人事領域でのコンサルティングに従事。ライフイズテック株式会社に参画後は、キャンプ・スクール事業を統括後、2020年に学校・教育委員会向けの新規事業を立ち上げ、SaaS型プログラミング教材「ライフイズテック レッスン」の提供を開始。現在は専務執行役員CESO兼事業部長として事業を牽引。
教育現場の変化とともに挑んだ、新たな価値提供の形
ライフイズテックは、キャンプスクールというBtoC事業から、学校向けのエドテック教材(SaaS型)提供や自治体向けのデジタル人材育成コンサルティングといった新規事業へと展開しました 。この背景には、既存のビジネスモデルが労働集約型かつ季節変動型であったため、より持続可能な成長を目指すという内的な要因と、プログラミング必修化という教育界での大きな変化に対応する必要があったという外的な要因がありました。
しかし、学校や自治体という新たな顧客に対してサービスを提供することは、非常に高いハードルがありました。新規顧客である学校の先生や自治体の教育委員会に対して、新しいサービスを提供することは、アンゾフの成長マトリクスでいう「新規市場開拓」であり、自治体特有の手続きや慣習を理解する必要があるなど、多くの困難が伴いました。また、ビジネスに対して共感は得られるものの、具体的な導入に繋がらないという壁に直面したそうです。
新規事業を成功に導いた「一次情報の解像度」を高める方法とは
この新規事業の壁を乗り越えるために、ライフイズテックは顧客(先生や教育委員会)への徹底的なヒアリングと「潜り込み」による一次情報の解像度を高めることを最も重視したとのことです。具体的には、先生へのインタビューやアンケートだけでなく、実際の授業を見学したり、自ら授業をさせてもらったりすることで、プロダクトの改善点や顧客の潜在的なニーズを発見しました。例えば、先生が授業の合間の短い時間で生徒たちの記録をつけなければならないという現場の状況を知ることで、より使いやすいUXを追求することができたことを、その一例としてお話されていました。
正解がない中でチーム全体で試行錯誤を繰り返した結果、最初の突破口として、奈良市や立命館守山高校での導入事例が生まれ、それが他の学校や自治体への展開を後押し、全国1万5千校のうち、約1/3に導入されているとのことです。
丸本さんは今後の展望として、教育を日本の輸出産業にすることを掲げています。学校や自治体と連携した「人づくり(デジタルを通じた世界の変革)」のノウハウを輸出し、グローバル展開をしていきたいと熱を持って語られていました。
日本で培った、学校や自治体と連携した「人づくり(デジタルを通じた世界の変革)」のノウハウを、グローバル、特にデジタル人材が不足している英語圏やアジアを中心に展開していきたいという意欲を示しています。
丸本さんが語る、新規事業の壁を乗り越えた軌跡と教訓について、ぜひ動画をご覧ください。
<一次情報の解像度が高い人が勝つー「新規事業の壁」に関する動画はこちら>
多角化の壁
「事業の多角化を成功させる秘訣-いかに「再現性」のある強みを育てるか?」
<出演者> ライフイズテック株式会社 取締役副社長 COO / 共同創業者 小森 勇太
早稲田大学理工学部卒。人材コンサルティング会社を経て、SCRAP社「リアル脱出ゲーム」のコンテンツディレクターを経験した後、ライフイズテックを共同創業。学び手中心の体験設計とエンターテインメントを取り入れた教育デザインのアプローチとして「LX(Learning Experience)」を提唱し、オンラインとオフラインの両面から革新的な教育サービスを追求。
事業多角化の背景と展開
ライフイズテックは、2010年に「教育を変える」という熱いミッションのもとに創業され、最初は中高生向けのBtoCキャンプ事業からその活動をスタートさせました。
事業の多角化は当初から計画していたものではなく、創業から約7~8年間、既存の中高生向け教育に注力する中で浮かび上がった社会的な課題やニーズに対応する形で、自分たちがやる意味を考えながら進めたとのこと。特に教育体験の質にこだわり、教育の「場作り」に徹底的にこだわった結果、その教育が子どもたちの人生を変える体験になることを実感したそうです。このような体験をより多くの人々に届けたいという思いから、オンライン事業への挑戦が始まったとのことです。
また、時代の変化とともに、学校の情報教育必修化や教員不足という課題が見えてきたため、自治体や学校向けのBtoG事業に展開し始めたとのこと。さらに、彼らが育てた中高生が社会で活躍する中で、その能力を活かす「出口」の狭さを痛感しました。
そのため、会社自体がデジタル人材を活用できる組織に変換することが必要と感じ、法人向け研修BtoB事業への参入に踏み切ったそうです。
PoCからPMFへの道のり、「再現性」のある強みが事業多角化の秘訣
ライフイズテックは新規事業の開始にあたり、まずPoC(Proof of Concept)を通じて、その事業が本当に社会に必要とされているのか、顧客との対話を通じてその必要性を感じられるかを確認したとのこと。必要性があると感じたタイミングで「まずはやってみよう」と意思決定し、実際に本格的な事業化へと進んだそうです。しかし、PoCからPMF(Product Market Fit)に至るまでには「顧客開拓」と「品質の再現性」の課題が大きかったと語ります。特に、サービスのハイコンテクスト性から、顧客を見つけることに苦労し、最終的にDX課題が顕在化している特定の業界、例えば製造業にターゲットを絞る戦略が功を奏し、現在の成長に繋がったとのこと。
PMFを達成した感覚はまだ手探りの段階にあるものの、特に「組織としての再現性を持てた時」にその感覚が強く感じられたそうです。この「再現性」とは、営業やデリバリー(納品)において新メンバーが短期間で活躍できるようになる、つまり仲間が増えればサービスが広がる状態になることを指し、これがPMFの一つの指標として重要であると考えられていました。
また、ライフイズテックの強みとして挙げられるのは、まさに「再現性」であり、これを担保するためには、まず仲間を重要視し、共通の志を持つメンバーを集めることが必要だと語っています。さらに、提供するサービスの品質をどうやって同じように維持するかを「言語化する」ことも大きなポイントだそうです。
事業の多角化に成功した秘訣は、「自分たちが何をできるのかという『アセット』を徹底的に見つめ、磨くこと」にあると語ります。これにより、事業を行う理由が明確になり、強い「意思」が生まれるとのこと。その意思があったからこそ、事業を多角化し、法人向け研修や新たな教育分野への挑戦に踏み出すことができたのだと感じているそうです。
小森さんは、これまで培った教育ノウハウを基に、社会の構造的な問題点を変えるため、大学生向けのキャリア教育にも取り組みたいそうです。また、社会にインパクトを与える形で中高生教育をさらにダイレクトに変革するため、学校設立を視野に入れた新たな挑戦も進めていきたいとのことです。
小森さんが語る、ライフイズテックの考える「再現性」のある強みの作り方や詳しい内容については、ぜひ動画をご覧ください。
<ー事業の多角化を成功させる秘訣ー「多角化の壁」に関する動画はこちら>
未来の壁
「停滞こそチャンス「事業が伸びない」を解決するには?未来を切り拓く起業家の思考法」
<出演者> 代表取締役 CEO 水野 雄介
失敗から学んだ教訓と、起業家として心がけている習慣
水野社長は、起業当初から現場主義を大切にし、子供たちや先生といった顧客の課題感や想いを深く理解し、プロダクトに反映させることで事業を大きく成長させてきました。
しかし、過去のディズニーとのコラボレーションで開発したオンラインシステムでは、「継続率が高ければ売れる」という考えでコンセプトを設計したことが失敗だったと感じているそうです。
この経験から、水野社長は「誰のために物を作るのか」「誰を本当の顧客とすべきか」といった問いを高い解像度で考えることの重要性を学びました。現在は、現場の声を丁寧に拾う姿勢をより強く持ち、特に事業が一時的に停滞するような"劣勢の時期"にこそ、再成長のヒントが隠れていると考えており、問題の解決だけでなく、同時に成長をもたらすような「両方を取れるアイデア」を追求することが、事業を再び飛躍させるチャンスだと語ります。
また、起業家としては、良い意思決定を行うための体調管理や、海外の価値観やAIといった新しい知見を取り入れ、常に自己をアップデートし続ける姿勢も大切にしているとのことです。
グローバルを目指す未来への挑戦
水野社長は、今後乗り越えるべき明確な課題として「海外の壁」を挙げています。
Sonyが世界にイノベーションをもたらしたように、教育分野においても革新を起こし、最終的には1億人以上の子供たちに良い影響を与えることができる、世界のライフイズテックとなれるような会社を目指しているそうです。
そのためにはまず、国内での基盤づくりが重要だと考えています。具体的には、営業利益率が3割の事業を3本作る「3割3本」戦略を掲げ、既存事業や国内の新規事業に経営資源を集中させ、確実に「勝てる」状態を整えるとのこと。このような安定した収益基盤を築いたうえで、新たなプロダクト開発や海外展開に再び挑む構想だそうです。
過去にはアメリカ市場で約5年間事業を行い、最終的には撤退を余儀なくされましたが、その経験から多くを学びを得たとのこと。次の海外展開先は必ずしもアメリカに限らず、状況を冷静に見極め、最適なタイミングで再び海外へ挑戦したいと語っています。
水野社長が語る、未来を切り開く思考法の詳しい内容については、ぜひ動画をご覧ください。
<ー 停滞こそチャンス「事業が伸びない」を解決するには? ー「未来の壁」に関する動画はこちら>
ライフイズテック社は、より一層の事業成長に向けて人材採用と組織体制の強化を行っております。
ご興味のある方は、ぜひライフイズテックの採用HPよりご確認ください。
・企業サイト:https://life-is-tech.com/
・採用情報:https://jobs.life-is-tech.com/