投資先インタビュー

婚活市場を牽引するオミカレの新たなスタート。自治体や企業と共に、「トキメキ」を伴う出会いの場を創造する

経営者として大切にしている志や、事業を通じて実現したい想いを聞く「経営者の志」。

第5回は、株式会社オミカレ 代表取締役社長の久留宮雅仁氏に登場いただき、投資担当者の藤森祥平からの視点と共に、これからの事業の挑戦について話を伺いました。

株式会社オミカレ

代表取締役社長

久留宮 雅仁(くるみや・まさひと)

株式会社リクルートに新卒で入社。ブライダル領域事業に従事。自社メディア『ゼクシィ』の広告営業を起点に、クライアントの業績改善、事業拡大を支援・伴走。他方では、マーケティング・新商品開発も担当。マネージャー、部長とキャリアを積み、事業戦略策定・組織作り・人材育成に携わる。2024年1月、株式会社ライトカフェのグループ子会社、株式会社bySTRADの立上げに参画、取締役副社長に就任。企業ビジョンの策定や各種制度設計を担った。また、コンサルタントとして、新規事業開発/立上げ支援、システム導入支援、マーケティング、人材/組織開発など様々な案件をプロジェクト化し、実行推進した。2025年11月1日、株式会社オミカレ代表取締役社長に就任。

【What’s 株式会社オミカレ】

婚活パーティープラットフォーム『オミカレ』を運営。2013年にサービスを開始し、2025年12月には会員数100万人に到達。日本最大級のパーティー掲載数・口コミ掲載数を誇る。鳥取県・岡山県・金沢市をはじめとする自治体や同業・異業種の垣根を越えた多様な企業とのパートナーシップを強化し、リアル×オンライン双方で、日本の未婚化・少子化という深刻な社会課題の解決を目指す。

株式会社オミカレ

地方自治体・多様な企業と連携し、日本の社会課題解決に挑む

ー久留宮さんは2025年11月にオミカレの新代表に就任されました。それ以前のキャリアを教えていただけますか。

久留宮 新卒でリクルートの『ゼクシィ』部門に広告営業として配属され、退職するまで16年近くブライダル領域に携わっていました。業界で圧倒的シェアを誇る媒体のため、クライアントへ単に広告枠を販売するのではなく、組織開発や事業開発にまで関わっていくような仕事でした。

リクルート退職後は、友人とともに経営コンサルティングの会社を立上げ、副社長として経営に携わっていたのですが、オミカレからオファーをもらって現在に至ります。

ーオミカレの事業領域は、『ゼクシィ』のいわば“手前”のような位置づけだと思いますが、婚活市場に対しては当時どんな印象を持っていましたか。

久留宮 『ゼクシィ』にも婚活マッチングサービスがあり、私も直接ではありませんが関わっていましたので、婚活マーケットは当時から注目はしていました。

オミカレから声をかけてもらったとき、「自分が向き合ってきたブライダル領域から、もう一段婚活領域においてやれることがあるはずだ」と直感しました。出会いたいのに出会えていない人たちがきちんと出会い、恋をして、結婚し、幸せな家庭を築く。そのためのチャレンジをオミカレという場所で改めてやってみたい、と強く思いました。

ー現在は、どんなモチベーションで婚活領域に向き合っていますか。『ゼクシィ』での経験が根底にあるのでしょうか。

久留宮 まだ内省しきれていないのですが…、そもそも私は日本が大好きなんです。この国がずっと豊かであってほしいし、そこで暮らす人たちには元気でいてほしい。

一方で、「ハレとケ」という言葉があるじゃないですか。要は「非日常と日常」ですが、私は感覚的に、日常より非日常の領域で価値を発揮するほうが得意だと感じていたんです。リクルートに入社して最初の配属面談でもそういう話をした結果、『ゼクシィ』に携わることができて、すごくフィット感がありました。

人生における一瞬の輝きを創出することで、その人たちのその後の人生が豊かになる。それがひいては人口減少や少子高齢化の解消につながり、日本が元気になる。そういう思いから使命感が養われていったのだと思います。『ゼクシィ』から婚活領域へとシフトした今も、その使命感は変わりません。

藤森 オミカレの新代表を決める際、候補者の方々に「会社をどうしていきしたいか」というプレゼンをしていただいたのですが、最も熱意を感じたのが久留宮さんでした。オミカレで代表になることが目的ではなく、オミカレの代表という手段を使って社会をどうしていきたいかを熱弁いただき、一貫したストーリーを感じました。

ー代表に就任して数ヶ月、すでに挑戦していることも今後挑戦したいこともたくさんあると思います。まずは最近の婚活市場の動向からお伺いしたいのですが。

久留宮 コロナが明けて数年、ユーザーの動きはマッチングアプリ一辺倒ではなく、「リアルな場へと回帰している傾向にあります。

アプリの場合、最初はスペックなどで相手を判断することになるので、選ぶのも選ばれるのも疲弊感が伴いがち。さらに、アプリ上で「いいね」を送り合い、マッチングして、メッセージのやりとりをして…と、実際に会うまでのステップが多く、もともと恋愛やコミュニケーションが得意な人でなければ、「会う」までに至らないんです。

結婚相談所は、高い料金を支払えば「結婚」という目的は達成できる。でも、目的が結婚へ一直線であり、効率的である分、そこに至るまで情緒的な体験価値が抜け落ちてしまいがちです。

一方で、婚活イベントは、婚活者一人ひとりが望む「お膳立て」レベルに合わせて、「1 on 1」や「街コン」、「立食スタイル」など様々なタイプの場があり、さらには、趣味や価値観に応じたイベントバリエーションが豊富なので、共通の体験を通じて心が動く、「トキメキ」を伴った出会い方ができる。アプリでなかなか出会えず、結婚相談所に登録するほど結婚への意欲がまだ強くない。そんな自然な出会いと「トキメキ」を求める方々にとって、婚活イベントは最適な場だと考えています。やっぱり恋をして、結婚したいじゃないですか。

ーなるほど。参加さえすれば出会いのスタート地点に立てて、情緒的な出会い方もできるというのが、婚活イベントのメリットということですね。

久留宮 はい。我々はプラットフォーマーなので、婚活イベントを自らどんどん生み出していく立場ではないのですが、「トキメキ」を伴った出会いの場を創造していくために、2つの方向でチャレンジを始めています。

1つは、マッチングの場を、質・量ともに圧倒的に広げていくことです。具体的には、既存のイベント事業者だけでなく、結婚式場や居酒屋といった異業種のクライアントとの協業を加速させているところです。

すでに、『PRONTO』を展開するプロントコーポレーションや、マリオット・インターナショナルのホテル『コートヤード・バイ・マリオット名古屋』とも協業し、「いつものカフェで気軽に出会う」「ラグジュアリーな空間で優雅に出会う」といった多様なライフスタイルに寄り添う場を創造しています。

もう1つは、地方自治体との協業。この取組は2024年から加速度的に進んでいるのですが、今後は地場のイベント事業者のみなさんと協力することで、地方でのイベント開催をローコストかつ継続的にできるようなパッケージをつくって、それを全国的に展開していけたらと考えています。

ー2024年に連携協定を締結した鳥取県は、「子育て王国課」を設置するなど少子化対策に力を入れている自治体ですが、現在も様々な取り組みを一緒に行っているようですね。

久留宮 はい。これまで鳥取でのイベント開催やメディア向けの勉強会の実施などを通じて着実に連携を深めてきました。自治体向けに開催した『オミカレ婚活サミット2025』も大きな反響をいただくなど、鳥取県をはじめとする自治体との協業はオミカレの婚活事業の重要な柱として、急速に拡大しています。

そして今年、3度目となる鳥取県との連携事業が決まっています。集客面やマッチング後のフォローなど、新たな課題も見えてきていますが、これまでのノウハウを活かし、県と密な対話を重ねながら、少子化・人口減少という大きな課題の解決を一緒に模索していきたいと考えています。

当社は「出会いが0をZEROにする」というビジョンを掲げており、今後もそこに向けて取り組んでいきますが、私が代表に就任して特に注力していきたいのは、提供サービスの価値をもう一段階上げていくこと。「どんな形で出会うか」、つまり、先ほども申し上げた「トキメキ」を伴う出会いの場をいかに増やしていくかをベースに据えながら、自治体や企業のみなさんと共に挑戦していきたいです。

ジャフコは腹を割って共に未来を描けるパートナー

ー久留宮さんが代表に就任した際、社員のみなさんの反応はいかがでしたか。

久留宮 最初のキックオフでスピーチしたときは、みんな戸惑いの表情を浮かべる社員も多かったですね(笑)。長年勤めているメンバーも多いので、会社のこれからに対する不安もあったのだと思います。

そんな経緯もあり、就任から現在に至るまで、毎週一人ひとりと1on1を続けてきました。「この前の話はどう思った?」とか「自分はこういうことをしたいと思っている」という話をざっくばらんにぶつけ合える時間を設けたいなと。

そうするうちに、普段は物静かなメンバーが「久留宮さん、それはないと思いますよ」とまっすぐ本音をぶつけてくるようになり、それに対して私も同じ温度感で議論する、ということが増えてきたんです。数ヶ月経った今は、私の考えを理解してくれているなと感じることも、各々が自分なりのリアクションをくれることもだいぶ増えて、大きな変化を感じています。

ー毎週継続しているのはすごいですね。社外取締役として経営に参加している藤森さんから見て、久留宮さんの姿勢はどんなふうに映っていますか。

藤森 メンバー全員とそこまで根気強く向き合える方は、なかなかいないと思いますね。就任後に1on1をする方は多いですが、1回で終わってしまうケースが多いので。一人ひとりと意見交換を続けていく中で、信頼関係が徐々に構築されていきますし、会社が目指す方向とのすり合わせもできますから、重要なコミュニケーションだと思っています。

ージャフコは普段どんな関わり方をしているのでしょう。

久留宮 藤森さん含めジャフコメンバーとは毎週戦略会議を行っており、現状の共有や戦略のディスカッションをさせていただいています。私たち自身も「世の中から見たオミカレ」という客観的視点を持つようにはしていますが、藤森さんはその“目”のひとつとして関わってくれているという感覚。私がアイデアベースであちこちへ行こうとするところに、「そっちの方向へ行ったほうが社会的価値が高まる」「今は世の中の潮流にある程度アジャストしたほうがいい」といったアドバイスをくださるので、とてもありがたいと思っています。

ビジネスには本音と建前がありますが、ジャフコとは腹を割り、真摯に向き合えるパートナーだと思います。「どうすれば会社として成長できるか」を一緒に考えられる方だと常々感じていますね。

藤森 ありがとうございます。客観的視点は大切にしつつ、ジャフコのコネクションを活かした取引先紹介やファイナンスまわりのことなど、久留宮さんが目指すオミカレの未来に必要なことは全部やります、というのがジャフコの支援スタンスです。

ージャフコとしては、オミカレにどんな未来を期待していますか。

藤森 「婚活イベントのプラットフォーマー」を超えた存在になってほしい気持ちがあります。結婚に向けた出会いはもちろんのこと、結婚は考えていないけれど誰かと知り合いたいとか、趣味が同じ友達をつくりたいとか、「人と人が出会う場」全般を提供するような企業へ成長してほしい。オミカレは、自治体や企業をどんどん巻き込んで事業を発展させていく力が強みだと思っているので、将来的にはより大きな枠組みでチャレンジしていくことを期待しています。

久留宮 そうですね。私も「出会い」、そして「家族になる」というライフステージの変化に関わるサービスによって、その人の人生を豊かにしていく。そういう方向に会社を拡大していきたいと考えています。また、今進んでいる異業種企業との連携の中で、婚活マーケットに可能性を感じていただき、より多くの企業にマーケット参入いただけたら嬉しいです。そうやって、我々にとっても新しいビジネスのヒントが見つかるかもしれないし、マーケットの拡大を促せていけたらとも思っています。

第二創業期を盛り上げる仲間へ。個性を活かし、未知の出会いを創り出す

ー今後の様々な挑戦に向けて、組織拡大も急務なのではないかと思います。どんな方と一緒に会社を成長させていきたいですか。

久留宮 現在は、さらなる事業拡大とより質の高いサービスの提供を目指して、組織体制の強化を図っているところです。そのために、新しい仲間を絶賛募集中です。先陣を切って事業運営に携わってくれる経営メンバーも必要ですし、営業やプロダクト、マーケティングを担う人材も強化したいと思っています。

マインド面でいえば、我々の事業に共感し、出会いや婚活という領域に対して情熱を燃やせる人。「婚活市場を活性化させたら日本も良くなるかもしれない」と思える人が理想です。

また、これは今一緒に頑張っている社員に対しても、これから新しく仲間になってくれる方に対しても等しく伝えたいことですが、一人ひとりが「自分はこうしたいんだ」という意志を大切にしてほしい。まだ誰も見たことのないワクワクするような価値を、自分の力で見つけにいく「探索者」であってほしいなと。これまでの当たり前に縛られず、「自分だったらこんな出会いの形をつくってみたい!」と楽しみながら動ける。そんな方と一緒に、オミカレを盛り上げていけたら心強いですね。

私は「成長しろ」と一方的に社員に言うのはおこがましいと思っていて、求めるのは「変化」です。「成長」というと、何かひとつのものさしがあるかのようで、その尺度での優劣を押しつけるのではなく、その人なりの魅力や個性を最大限に活かして活躍してもらいたいと思っているんです。そして、第二創業フェーズに突入している今、日々あらゆることを変化させながら前に進もうとしている真っ最中でもあります。だからこそ、その変化をポジティブに楽しめる人、自分自身も変化することを厭わない人、固定観念にとらわれずに多様な考えを発信できる人にジョインしていただきたいです。

さらに、オミカレでの挑戦が、その人自身の人生を切り拓いていくきっかけになってほしい。その積み重ねが、気づいたら会社、そして社会を動かす大きな力に変わっていく。そんな、個の想いを尊重し合える組織でありたいですね。

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ー最後に、久留宮さんが大切にしている経営者としてのポリシーがあればお聞かせください。

久留宮 キャリアのタイプを2つに分けるなら、目標を決めて筋道を立てて登っていく「山登り型」と、状況に合わせてアジャストしながら結果的にゴールに辿り着く「川下り型」があると思いますが、私は「川下り型」。今日考えることと明日考えることを比べたら、明日考えることの方が「いいこと」を思いついていそうだなと。自分は次の瞬間にもアップデートされているはずだ!だと思いたいというか。だからこそ、今、目の前で起きていることに全力でコミットすれば、次の日には輝かしい未来が待っていると信じているんです。

もちろん会社としては、事業計画や目標を立てることは重要で、実際それらに沿って計画的に経営しています。ただ、私個人の価値観でいえば、毎日、もっと言えば毎秒、変化していきたいと思っているので、常に変化を楽しみながら全力で事業と向き合っていきたいですね。

担当者:藤森祥平からのコメント

「出会いが0をZEROにする」という、日本最大級の婚活イベントポータルサイトを運営するオミカレのVisionは、結婚を前提とした出会いに限らず、人と人が出会うきっかけそのものを広げていくという考えを表しています。オミカレは、真剣な出会いを求める方はもちろん、まずは気軽に参加してみたい方にも寄り添いながら、出会いの機会の創出を大切にしております。出会い方が多様化する中で、婚活イベントのあり方を時代に合わせて進化させ続けている点に、私たちも強く共感しています。久留宮社長をはじめとするメンバーの皆さまとともに、これからもオミカレの挑戦を支えていきたいと考えています。