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その1「こんな事業計画はうまくいきませんでした」

1. はじめに

ジャフコの投資先にはIPOに至らなかった会社も多くあります。

必ずしも失敗ということではありませんが、IPOを果たした会社も含めて、「当初の事業計画どおりに進捗しないケース」がたくさんありました。

うまくいかなかった事業計画とはどんなケースだったのか? また、それらに共通していることは何だったのか?──これらについて、見ていきたいと思います。

2. ひとつでも欠けると失敗する3つの要素

ビジネスは、シンプルに表現すると、「ものを生産(仕入)して、顧客売る」ということだと言われています。これをもう少し具体的にしてみましょう。

まず、「ものを生産(仕入)する」とは、製品を製造したり、商品を仕入れたりすることはもちろん、技術力やノウハウといった知的財産的なことも含めたものと考えられます。

こんなケースが多くあります。

  • 人に依存した技術で、その人材が退職してしまった。
  • 参入障壁が低く、競合に負けてしまった。
  • 開発が長期化して、資金繰りが悪化してしまった。

次に、「顧客」ですが、これはいわゆるマーケットということです。

こんな話をよく聞きませんか?

  • あると思っていたマーケットに行ってみたら、なかった(小さかった)。
  • マーケットに行くのが、遅すぎた(早すぎた)。
  • 1ユーザーの声を、マーケット全体の声と勘違いした。

最後に、これらを結びつけるのが「売る」こと、すなわち販売力ということになります。

事業計画がうまく行かないケースは、おそらくこの部分が弱いことが一番の原因かもしれません。

  • 代理店政策の失敗(代理店が売ってくれない)。“組む相手を間違えた”
  • そもそも、営業力のある人材がいなかった。
  • 引き合い、見込み件数が絶対的に不足していた。

今見てきた、「もの」「顧客」「売る」という3つの要素のうち一つでも欠けると、その事業計画はうまくいかないのだと思います。

先日お聞きしたある会社の社長のお話を一つご紹介します。

「こんなにすごい技術なんだから、お客さんが喜んで買ってくれて、一気に市場のシェアを取れると思っていた。ところが、ほとんど期待外れの結果だった。よく考えてみれば当たり前だが、お客様は、既に導入している装置を一気に買い換えることはしない。また、それまでの購入業者との人的つながりも、簡単には切ってくれないものなのだ。」

「やはり、マーケットはそこに行ってみないとダメだ」ということを示す、典型的な事例だと思いませんか?

3. 事業計画を達成する為に

どんなに良くできた事業計画でも、ほとんどの場合がその計画どおりには進まず、遅延しがちです。

事業計画を達成し成長するために、前述した3つの要素以外に、もう一つ大事なことがあります。

それは、「事業計画の進捗を常にレビュー(見直し)すること」です。なぜこれが大事なのでしょうか?それは、多くの場合、事業計画が遅延していることに気づくのが遅くなりがちだからです。

事業計画は、本来、成功を勝ちとる為のロードマップとしての役割、機能をもっています。道に迷ってからでは、手遅れです。

よく、「事業計画が半年遅れている」という話を聞きます。詳しく聞いてみると、大概「数値計画が半年遅れているのだ」、という答えが返ってきます。

しかし、事業計画=数値計画ではありません。

事業計画書には、「数値計画を達成するために、誰が、いつまでに、何をするのか」が書かれているはずです。あるいは、リスクも想定していたはずです。いわゆる行動計画や戦略の進捗をレビューし、リスクが顕在化していないかを日々見極めることが必要です。数字(結果)が出てからでは遅いのです。

企業コンサルティンググループでは、こうした問題を解決するための実践的なツールとして、モニタリングツール(シート)の作成のお手伝いをしています。単なる予算実績差異分析ではなく、事業計画の中にある企業特有の指標や行動計画を戦略レベルに落とし込んだモニタリングシートを、シンプルな形で表現するものです。

【モニタリングツール(シート)】

4. 最後に

弊社が関与している企業の社長は、よく「人が企業なり」ということを言われます(一般には「企業は人なり」ですが)。

事業計画を達成する原動力はそのフィールドで活躍する「人」であり、最終的には「人」次第ということかもしれません。勿論、経営者自身も含めてということではありますが、ほとんどの場合、この「人」に関することが事業計画にはあまり表現されていないと思います。

貴社において、事業計画を実現する上で、「人」はどのような位置付けになっているか──事業計画を作成したりレビューしたりする際には、これもよく考えていただければと思います。